フランス物理学者による「植物の歌」

(10年以上も前の事だが、日本語で彼の記事がないため翻訳)

野原に響く鳥のさえずりのようなサウンドが植物の育成に影響を及ぼすことは、科学的に明らかになっている。研究によると、植物は複雑な方法でこれらのサウンドに反応する。サウンドは植物の健やかさだけではなく、成長のスピードやサイズにまで影響を及ぼす。

60年代後半から70年代にかけて、植物を音楽に反応させる実験が流行り、さまざまな方法でこれが実証された。こうした実験のバイブルと呼ばれるのが、1973年に出版された「ザ・シークレットライフ・オブ・プランツ」(ピーター・トムキンス、クリストファー・バード共著)だ。

植物への太陽光の影響を考察する場合、それは、電磁波スペクトラムの一部(可視光を含む部分)が植物へ及ぼす影響を考察しているのと等しい。だから、電磁波スペクトラムの他の部分 ーサウンドウェーブ ーが植物の成長に影響するということは、驚くには当たらない。

このことは、まず1994年5月28日発行の「ニューサイエンティスト」に掲載されたAndy Coghlan の記事に発表されたが、フランス人物理学者Joel Sternheimer が植物がサウンドウェーブの刺激に反応するメカニズムを発見するまでは「科学的ではない」アイデアとされていた。Sternheimer は植物の成長を促す旋律を作曲し、国際特許を取得した。
メロディーを構成する各音符は、タンパク質中のアミノ酸に対応し、曲全体がタンパク質全体に対応するようにえらばれている。彼は、植物の種類ごとに、その成長を刺激する旋律を作った。ニューサイエンティストによると、「Sternheimerは、植物はその内部構成に適したメロディーを聞くと、タンパク質をたくさん作り出すのだと主張した。彼はまたタンパク質の合成を抑止する旋律も作曲した。」つまり、希望の植物だけを刺激して成長させ、希望しない植物(雑草など)の成長を妨げるためである。この方法は、適切な振動数の電磁波エネルギー(この場合はサウンドウェーブ)を使って、エネルギーレベル、分子下レベルでの影響を植物に及ぼす。
Sternheimer は、タンパク質がアミノ酸から組み立てられるときに分子下レベルで起こる量子の振動を、可聴音楽の振動に置き換えた。彼は単純な物理学を用いて、この相関関係を成り立たせる音楽を作曲できた。Sternheimer は、植物のための作曲した楽譜中の各音符は、タンパク質の鎖にアミノ酸が結合する際の振動数の倍数であると、ニューサイエンティストに述べている。楽譜通りに演奏すれば、植物を刺激して成長を促すことができる。これが実用化すれば、農業に用いられる化学肥料も不要となるだろうし、化学肥料を用いる現在の方法よりも安価で安易、エコロジカルな方法になることは間違いない。

彼の旋律は、植物のタンパク質の合成を刺激する。Sternheimer によると、音符の長さは、それぞれのアミノ酸が結合する時間の長さに等しい。
Sternheimer の実験に用いられたトマトは、通常のトマトの2.5倍もの大きさに育った。いくつかの植物は、サイズが増大しただけではなく、甘さも増大した。彼の作曲した旋律は、シトクロムC、タウマチンなどトマトの3つの要素を刺激する。ニューサイエンティストの記事によれば、彼は一日約3分間、6分子分の音楽をトマトに聞かせた。
彼はまた、トマトに害を及ぼすモザイクウィルスが必要とする酵素を抑止する旋律を聴かせることにより、ウィルスを除去したと主張する。
彼の作曲した旋律はとても短く、一度聞かせるだけで良い。たとえば、シトクロムCのための旋律は、たった29秒である。Sternheimerによると、このシリーズでは、一秒につき平均4つのアミノ酸に効果を及ぼす。

この実験の注意点は、人間への影響である。シトクロムCへの旋律を演奏後にミュージシャンの一人が息苦しさを覚えたそうだ。

サウンドによる植物刺激の発見は、深い意味合いを持つ。このような安価な「肥料」の開発は、後進国にとっても朗報だろう。

サウンドが人間を癒す効果を持つことは、世界中の科学者たちにより実証されている。サウンドのタンパク質への影響の発見は、人間の健康にとっても朗報だ。健やかな農作物を育てることは、それを消費する人間の健康も促進することになろう。