ゴーストウォーク イプスウィッチ

サイコジオフィジックス サフォークサミットは州都イプスウィッチを基点とし、郊外の快適なファームハウスを借り切って、無理のないプログラムになっていたのが良かった。一週間の内の半分は、イプスウィッチの公共会館の一室を借りて、ゴースト探知機やキルリアン写真の公開ワークショップを行った。

(ファームハウス)

(ファームハウスの納屋。“納屋で殴り合い、撃ち合いは禁止。たばこを吸った者は二度撃つ”)

イプスウィッチという名前は、「ウィッチクラフト」(魔術)から来ているのだそう。その名の通り、昔はこのへんに魔女がたくさんいたらしい。

ゴースト探知機制作後、実践編として、イプスウィッチの町に点在する幽霊屋敷やむかしの処刑場を歩き回った。幽霊屋敷と言っても、今は近代的なアパートや集合住宅になっているのが大半で、見た目も普通で怖くない。住民たちもゴーストツアーの観光客に慣れているらしくて、みんな「ゴースト見つかった?」などとユーモアを交えた挨拶をしてくれる。
私たちの立場と関心は、幽霊を信じる信じないというのとは関係ないところにあった。後日パリに戻ってサフォークでの経験を話すと、たいがいのフランス人が「幽霊なんて信じない」と返してくるのに違和感を感じたが、イギリス人はペイガニズムや超常現象をおもしろがって受け入れる豊かさを持っている。なので、イギリス各地には幽霊や魔女や妖精を観光の売りにしている町も多い。そういうところにフランスとイギリスの歴史のちがいを感じる。

一番最後に行った某四つ角に面した幽霊屋敷は本当に怖かった。今は誰も住んでいなくて放置されているらしいけど、窓を見上げた瞬間に背筋がぞくっとした。
その後に向いのパブで一杯飲んでいると、カウンターにいたバーメイドたちや地元の常連客が私たちの会話に入ってきて、実際に体験した幽霊談をはじめた。バーメイドの一人は、閉店後の店内に現れた二人組の男の幽霊を見たのだそう。「あそこにいたのよ」と、指を指して教えてくれる。店の外観の古い白黒写真を倉庫から出してきて見せてくれたりもした。その四つ角をバツ印につなぐ地下通路があったのだが、今は封鎖されて入れないという話も聞いた。

サミットの最終日は金曜日で、町はクラブ通いの若者たちでいっぱいだった。女は厚化粧とミニスカートとハイヒール、男は通りで殴り合いというアーヴィン・ウェルシュの小説そのままの労働者階級の週末。パトカーも何台も見かけた。女の子たちのタフではすっぱなイギリス英語がかっこいい。
私たちは、インド料理店でけっこう豪勢な夕食を食べて締めくくった。お金をくれてありがとう、ブリティッシュ・アート・カウンシル!

ゴーストウォーク ドキュメント http://www.psychogeophysics.org/wiki/doku.php?id=summit2011:wednesday