絞首台の丘

サイコジオフィジックス サフォークサミット4日目、ウールピットの後に立ち寄ったのがギャロウズ・ヒル。鉄道を見下ろす、何の変哲もない刈り入れ後の麦畑だったが、ギャロウズ・ヒルというのは、絞首台の丘という意味なので、文献は残っていないけどずっと昔に何か血なまぐさい処刑の舞台だった可能性が高い。私たちはそこでもゴースト探知機でデータを収集した。

ギャロウズ・ヒルは白亜の崖に続いていて、そこでは昔チョークを作るための材料が採集されていたそうだ。チョークと聞いて、すぐにハクスリーのチョークの話というのを思い出した。それは、太古の海の微生物の殻が堆積してできた白亜が、今はチョークとなって自分の頭のなかのアイデアを伝える道具になっている、というような話だったと思う。その時はオルダス・ハクスリーだと思っていたけど、これはトマス・ヘンリー・ハクスリー(オルダスの祖父)の書いたエッセイだったようだ。

この話をしながら歩き回っていたら、イラクサにさされた。フランスやイギリスの道ばた生えるイラクサは、目に見えない極細のトゲがあり、これにさされると一分間ほどチクチクと痛い。最初さされた時はびっくりしたが、一緒にいたフランス人が一分間で治まることを教えてくれて、その通りになった。そのフランス人は、イラクサのトゲは血の循環を良くする作用があると言っていたけど、私がイラクサにさされたことを知ると、イギリス人は「ドック・リーブスを探せ」と言った。
「何それ?」と聞くと、「イラクサにさされた痛みを和らげる植物で、イラクサとは絶対に対になって生えている」と言う。その言葉の通りにすぐそばに生えていたドック・リーブスというのは、スイバの一種で、患部にあてがうとすぐに痛みがひいた。有害な植物とその治療のための植物が対になって自生しているというのは不思議な話だ。(フランスにはスイバの方は生えてないのか、それともフランス人はマゾなのか)

サフォーク州の行く先々で、サミットに参加していたオランダ人のエンジニアが凧にデジカメを搭載して上空ビデオを撮っていた。ずっと昔からサイコジオグラフィーに興味を持っている優秀なアマチュアで、とても親切で物知りな人だった。
凧ビデオもなかなかおもしろいので、興味のある人はぜひ見てみて欲しい。Gallows Hill - kite video http://vimeo.com/28627604

彼にどんな経緯でサイコジオグラフィーに興味を持ったのか聞いてみたら、自分は科学とエレクトロニクスと変なものが好きだから、という答えが返ってきた。