サンタクロース

クリスマスがキリストの誕生日ではないことは、アメリカのビート作家トム・ロビンスの「香水ジルバ」を読んで知った。

香水ジルバ

香水ジルバ

キリストの本当の誕生日には諸説あるが、ロビンスは7月説を採っている。聖書中にキリスト生誕後、羊飼いが羊を野外に放牧したという記述があるが冬の間は羊を外に出さないこと、それから聖書にしるされた星座のもようから、7月や9月が妥当とされている。
12月25日の由来は、キリスト教がヨーロッパに広まる前のミトラ教や北欧神話の冬至祭を転用したものという説が有力だ。つまり、収穫が終わって、一年の仕事を終了した百姓たちが多神教の神様に捧げたいわゆるどんちゃん騒ぎがもともとのクリスマスなのだそう。

こうした背景があるため、クリスマスを指すことばもヨーロッパの国では語源がまちまち。ドイツ語ではヴァイナハテン、フランス語ではノエル。フランス語と同じラテン語由来のイタリア語では、たしか「メリークリスマス」が「ボナセーラ」だったから、セーラというのがクリスマスのことだと思う。

日本で定着している赤と白の衣装を着たサンタクロースのイメージはコカ・コーラ社の創作だ。フランスでも現在はこの衣装のサンタがメインストリームだが、高齢者にはあまりしっくりは来ないらしい。フィンランドに住んでいるというプロフィールも怪しいもので、サンタクロースの起源と言われる聖ニコラウス(セイント(サント)・(ニ)コラウス → サンタクロース)の出身地は今のトルコだ。異教の祭りをむりやりキリスト教に変えたものなので、もはやヨーロッパ人でさえ意味がわからないほどぐちゃぐちゃになっている。

古代信仰の名残で、プレゼントを持ってくるのがサンタさんではない国もずいぶんと多い。
Wikipediaによると、

魔女 イタリアのほとんどの地域 
ヴァイナハテンマン ドイツ北部
クリスト・キント  ドイツ南部
妖精 北欧

ドイツではプレゼントをもらえるのは良い子のみで、悪い子には石炭を与えたり、木の枝で打つなど、東北地方のなまはげを連想させるような薄ら怖い伝説になっている。

私は多神教の国から来ているので、イースターとか他のキリスト教の祭り(ハロウィンはアメリカの発明なので除外)は味気なくてつまらないなあと思うし、そのせいかクリスマスだけは肌になじむ。