B級スポット 大道具レンタル

フランスは、映画館の興行収入の何割かが映画製作費に充てられるという循環システムにより、映画の製作本数が世界一だそうだ。
映画の大道具や小道具、衣装をレンタルする店がパリに何軒かあって、下見のふりをすれば簡単に入れてもらえる。巨大な倉庫の中に変な物がごろごろと並んでいて、まさに異空間だ。

  

写真はバスティーユ近くの、主に骨董家具・装飾品を扱っている時代劇向けのレンタル屋。仏像、トーテムポール、日本の鎧兜などもまぎれている。誰が書いたのか、それらしい風景画・肖像画もたくさんあり、あとは数千脚の椅子の積まれた三階フロア、動物の剥製が所狭しと並ぶノアの方舟ふうの一部屋もすごい。中庭はギロチンなどの拷問器具(撮影用の偽物)などを揃えており、そのそばには東南アジア風の石像がごろごろ転がっている。隣のガレージでは、職工さんが、アメリカの田舎町のモーテルの屋根とかにのっていそうなカウボーイの人形に色を塗っている所だった。

その他に足を踏み入れたことのあるのは、アメロ通りの大道具レンタルとベルヴィルの衣装レンタルで、アメロ通りの方は、病院の器具類や旧式の公衆電話など特殊な大道具が多く、サブで衣装レンタルもやっている。ベルヴィルの衣装レンタルと違うのは、ベルヴィルの方は本物の時代物の衣装を扱っている点で、アメロ通りの方は本物に似せて作った衣装とか看護婦/警官などのユニフォームが中心。

フィリップ・K・ディックの「高い城の男」で、骨董品の真偽の問題が出てくるが、偽物がここまでごちゃごちゃになって一所におさまっていると、また不思議と面白い。